血尿の原因は膀胱炎だけじゃないかも
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■「最近おしっこの色が濃い気がする」
そんな変化をきっかけに来院された7歳のチワワの男の子のお話です。
来院時は元気も食欲もあり、普段通り生活できていました。
この時の尿検査では血液と細菌が確認され、エコー検査では膀胱に炎症を疑う所見も認められたため、まずは膀胱炎として治療を開始しました。
その後、尿の色は少しずつ改善していきました。
しかし1ヶ月後の尿検査では、潜血反応が残っており、前回は見られなかったシュウ酸カルシウム結晶が見られました。
そこで食事療法を開始し、再度経過を見ることとなりました。
■原因は尿管にありました
さらに1ヶ月後、尿の色はたまに濃くなるけど前ほどではない。という状態が続いていました。本人は至って元気です。尿検査を行いましたが、潜血反応は相変わらず続いていました。
流石におかしいと今まではなかなか嫌がってできなかった腎臓のエコーを行うことに。
そこで思わぬ異常が見つかりました。
右側の腎臓が大きく腫れ、腎臓から出てすぐのところに尿管結石が確認されたのです。
尿管とは、腎臓で作られた尿を膀胱へ運ぶ細い管です。
その管に結石が詰まると尿の流れが悪くなり、腎臓に圧力がかかります。
このチワワくんは右側の腎臓の尿が排出できず大きく腫れてしまっていました。
■血液検査は正常でした
「腎臓が悪いなら血液検査で分かるのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし腎臓は左右に1つずつあります。
今回のように片側だけの異常であれば、反対側の腎臓が頑張って働くことで血液検査に変化が出ないことがあります。
実際、この子も血液検査は正常でした。
だからこそ、尿検査やエコー検査がとても大切になります。
◾︎腎臓を残せる可能性にかけて
CT検査で状態を詳しく確認した結果、右腎臓はかなり負担のかかった状態でした。
主な選択肢としては、
という方法が考えられました。
長期間閉塞していた腎臓は機能が戻らない可能性もあります。
それでもまだ7歳。少しでも機能が残っているなら。
そんな思いから、飼い主さんとも相談した結果、今回は結石だけを摘出し、腎臓を残す方針を選択しました。
◾︎実は痛かったのかも
尿管結石は強い痛みを伴う病気です。
・腎臓に圧力がかかる痛み
・結石が尿管を刺激する痛み
・尿管が痙攣することで起こる痛み
人であれば救急外来を受診するほど強い痛みになることもあります。
ただ、犬や猫は痛みを我慢してしまうことが少なくありません。
この子も飼い主さんから見ると、
「特別痛そうではない」
という印象だったそうです。
ただ振り返ってみると、抱っこの時に体をこわばらせたり、時々キャンと鳴いたり、
そんな様子はあったとのことでした。
◾︎手術後に見られた変化
手術から約6週間後。
飼い主さんからは、
「以前より元気になった」「よく動くようになった」
というお話が聞けました。
抱っこの時のこわばりもなくなり、キャンと鳴くこともほとんどなくなりました。
術後の様子を見ると、この子は思っていた以上に不快感や痛みを抱えていたのかもしれません。
◾︎術後4ヶ月経った今
術後4ヶ月以上が経ちましたが、とても元気に過ごしてくれています。
定期的に超音波検査を行っていますが、術前に認められていた腎盂拡張の再発はなく、腎臓の萎縮も認められていません。
また、結石を摘出するために切開し、縫合した尿管も狭窄することなく良好に維持されており、現在のところ再閉塞を疑う所見もありません。
腎臓を残せる可能性を期待して選択した治療でしたが、良好な経過を辿ってくれており、私たちも嬉しく思っています。
◾︎最後に
血尿というと膀胱炎をイメージされる方が多いと思います。
もちろん膀胱炎はよくある病気ですが、今回のように腎臓や尿管に原因が隠れていることもあります。
そして、
元気があるから大丈夫。
血液検査が正常だから大丈夫。
とは言い切れないこともあります。
尿の色がいつもと違う。血が混じる。
そんな小さなサインが、病気を見つけるきっかけになることもあります。
今回の症例が、同じような症状で悩む子たちの参考になれば幸いです。























