鶴って折れますか?
- 腹腔鏡手術
腹腔鏡という分野に関するお話を書いてみようと思いますが、今回はちょっとブログ的な要素も入ってしまったおりますが、何となく読んで知って頂ければとお思います!
突然ですが、ちょっと前のYahoo!ニュースで、折り紙で「鶴」が折れない。という話題が出ておりました。折り紙で鶴の折り方がわからない、といった内容のもので、ちょっとびっくりしました。
折り紙自体大人になってあまり触る機会もないと思いますが、子供が小さい時に一緒に折ったりしたことは少ないですがあったので、ちょっとびっくりでした。
折り紙の鶴といえば、わたしの世代だと、小学校の時にクラスの誰かが入院するとみんなで千羽鶴を折って送っていました。毎年盲腸などで一人は入院してた気がしますが。。。
さて、そんな私ですが、一人で千羽鶴なんてもちろん勿論折った事はないですし、大人に成ってからもありません。
ですが、腹腔鏡という手術に取り組むようになり、そのための練習として以前から鶴を折ってみる事はしていましたが、これは非常にストレスのかかる練習で、普通に縫合などの練習をするのと比べると、雲泥の差があります。
ちょっと前の「ドクターズ」という医療系ドラマがあったのですが、そこで医者役の高嶋さんが、特技は「腹腔鏡で鶴を折ることです」という台詞を言ってます。また、実際に人医の練習としても実際に臨床外科という雑誌に記載されているほどです。
そこでは3分足らずで折ってしまう先生方もおりそれに比べると手も足も出ませんが。。。
ちなみに私が勉強させていただいている先生のお一人もその中で3分台の実力の持ち主です。
私はまだまだで、調子が良ければ7分台、通常に折って8分台です。
スピードを重視すると私ももう少し早く折れると思いますが、「丁寧さ」も考えると、というか、綺麗でない(精度が悪い)と気になってしまうのでバランスも大事です!
この練習、楽しいという先生もおりますが、私はまだまだその境地に至れず、壁にぶつかっております。
ただコロナ禍にあり、この1年しっかり取り組もうかと継続を目標に折り始め、先日数えてみるとなんと、千羽を超えておりました!
自分の人生の中で中で一人で折る事はないと思っていた千羽鶴!
継続して初めて折り切った千羽鶴!ちょっと感動です!!!
この折り鶴トレーニングは、実際にやってみるといろいろなことがわかります。
勿論技術的なこともそうですが、私の場合で言えば
・朝は手が動かない。
・一羽目より続けておった後の方ができやタイムがいい。
・ビデオとか人に見られながらだとタイムが遅い。
・折り紙の色によって折りやすさが違う。
・折るための下敷きの種類によっても精度やスピードが変わる
・折るための鉗子が変わるとちょっともたつく。
などということが見えたりもします、このようなことが見えるということはそれに対する対策が取れるということでもあります。
腹腔鏡の手術は最低限必要な技術を身につけないといけません。勿論、通常の手術でもそれは同じですが、腹腔鏡の場合は付け焼き刃ではリスクが増すことがあるといったところで日常からこうした訓練をすることが有効だと言われています。
当然、鶴が折れるから手術が出来るということではないので、そこは間違えてはいけません。
鶴を折るのには繊細な鉗子操作も必要で綺麗な鶴が折れることも大切です。
繊細な操作は、そのまま臓器への接し方にもなりますのでね。
そして、この腹腔鏡に関していえば、実際の手術を見ながら術者と同じように鉗子を操作する練習も出来ます。今までも手術動画と言うのはありそれを見て練習したりするのですが、通常の手術は全体を撮っていて、執刀医の目線ではないことがほとんどです。
ですが、腹腔鏡の場合は画像がそのまま執刀医の目線になるのです。こういった練習ができるのはとても有効なのです。
そして何の因果かそのまま私のための千羽鶴になろうとは!もはや偶然ではなくて必然でしょうか。しかも折るためにかけた時間はかなりなものですし、きっと医療の神様も認めてくれるのではないでしょうか!
自分のために千羽鶴を折ってみた!みたいなタイトルになりかねませんが、実は常日頃からこのような練習を当然のこととして続けています。
引き続き、二千羽を目指します。