山県市高富の犬・猫の動物病院『たかとみ動物病院』

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症例紹介

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耳の症例 毛だと言って甘く見ては!

  • 耳鼻科

今回は耳のお話です。
ワンちゃんの耳の疾患はとても多く、来院の理由も様々です。
痒みがある、耳が臭い、赤い、膿が出てる、頭を振ってるなどなどその症状も様々です。そして大概の子が耳の病気を経験した事があるのではないかと思います。

 

耳道疾患はとても多く、そのほとんどが再発などを繰り返しているケースが多いのですが、再発の程度がひどい場合はその理由があると必ず考えてください。
症状が治ってもう治療が必要ないでしょうと思えるケースでも実際には耳に問題を残したままのケースが非常に多いです。来院された患者さんのほとんどが、その現状を知って驚かれることが多いのです。

耳の不快感は言葉で表せない動物たちにとってはそのギャップがとても激しい疾患です。
いわゆる外耳炎が再発する場合は要注意だと思ってあげてくださいね。

外耳炎・中耳炎の疾患は多いので順次様々なケースをあげていきたいと思いますが、今回はその中でも本当に〜?って思っちゃうような症例に関して挙げてみようと思います!

 

耳の疾患は外耳炎、中耳炎がよく見るケースですが、その原因は様々です。
すでに外耳炎ではPSPP分類というものがあり、通常それに沿って説明させていただくのですが、そもそもPSPP分類というのはPrimary causes(主因)、Secondary causes(副因)、Prepetuating factor(永続因子或いは持続因子)、Predisposing factor(素因)でその頭文字を取ってPSPPとされています。
よくある細菌感染とかマラセチアなどによる外耳炎はとても多いのですが実は分類上この菌たちは「副因」に分類されています。つまり、これだけが悪いわけじゃないのです。
さらに言うと細菌性外耳炎表現される病態が繰り返される場合はきちんとそれ以外の主因、持続因子、素因を考えないと再発して当たり前と言うことになります。
耳の診察では耳道内の観察はできる限りしたいところです。

 

症例
柴犬 8歳 オス 8.5kg  昨日から急に右耳を下げて左耳を掻いていると来院されました。
確かに右耳を明らかに下げています。
散歩に行ってからかもしれないと言うことでした。
左右の耳をちょっと見せてもらうと確かに綺麗です。となるとこれは耳道内の問題かもと思われますがそれを確認するためには中を見せてもらわないと難しいですね。
ここで耳疾患の「あるある」ですが、大概見せてくれません・・・・。
それはそうです、だって痛かったりしてることもあるし、耳鳴りがしてるかもしれないし、この子達にとったら不快感極まりない状態なのです。
そうなると鎮静をかけてみるしかありません、散歩に行った後からなどで急にキャンキャン鳴いたりすると「草のみ」が入ったりして不快感を示すことはこの辺では珍しくありませんので、まず異物の確認はしたいところです。
鎮静下で見せてもらうと草の実などの異物や腫瘍などはなく毛が鼓膜に刺さったり触れています。 実はこの毛による鼓膜への刺激というのは意外と多いのです。急に発症する子や慢性経過の子もいます。
先ほどのPSPP分類ではこの毛は「主因」となります。これを放置していると細菌やマラセチアの増殖に繋がり一気に悪化して所謂「耳漏」などを起こします。
柴犬などは耳周りの硬い毛が耳道内に落ちていき束になっている子もよく見かけます。


この毛は「落毛」などと言われこれによる鼓膜刺激を刺毛性鼓膜炎などと言われたりします。
治療はこの毛を丁寧に取り除くことになります。
昔はたった1本の毛でそんな症状出る?とか、本当にこれが原因?と思っていましたが、実際に取り除くと翌日から症状が消失します。
慢性経過での場合は周囲への影響などにより回復に数日かかることもあります。
耳の毛はもともと生えている場合もあるのですが、生えているのが鼓膜を刺激するケースはほぼなく(感染の原因になってくることはある)、落毛恐るべし!です。

 

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